乳酸菌が効く? 全否定はできない食べる花粉症対策

アレルギー性鼻炎に対する食の民間療法(前篇)

2018.03.09(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

五十嵐 ただ、そうとも言い切れません。ヨーグルトの成分として知られる乳酸菌のある特定の株には、アレルギー反応を抑える効果があるとする研究結果も出ているのです。

 2012年に千葉大学の稲嶺絢子先生らが『クリニカル・イミュノロジー』という雑誌に報告した研究結果では、マウスに対して乳酸菌のL.paracasei KW3110という株を口腔内投与するなどしたところ、抗原誘発鼻症状の抑制、血中IgE(免疫グロブリンE)値の低下、頸部リンパ節でのTh2サイトカインの選択的な生産性低下などが見られたといいます。これらはいずれも、アレルギー反応を抑えるほうに改善したことを意味します。

――動物実験では、ある特定の乳酸菌株で効き目が見られたということでしょうか?

五十嵐 ヒトを対象とする研究も行われています。日本医科大学の松根彰志先生が2017年に『アレルギー・免疫』という雑誌に寄稿した「セルフケアの効果検証」という記事を見ると、スギ花粉症患者の方100名に乳酸菌口内錠を12月から4月まで連続投与したところ、「アレルギー日記による花粉飛散ピーク時の症状解析では、プラセボに比較して症状緩和効果が認められた」とあります。また「Th2細胞クローンの花粉飛散によるサイズ増大を抑制していることが認められた」ともしており、これもアレルギー反応を抑制する効果を述べているものです。

 ですので、ヨーグルトの成分となる乳酸菌のタブレットでということにはなりますが、ヒトにおいても花粉症を緩和する効果はあるといわれているのです。

負担にならなければ試してみる手も

――効果がないとは言い切れないようですね。食による花粉症の民間療法について、患者の人たちはどのように考えたらよいのでしょうか?

五十嵐 がん患者さんたちにつけ込む儲け主義の民間療法は論外ですが、花粉症の民間療法であればさほど高価なものはありません。ヨーグルトについては花粉症の改善以外に、お腹の調子がよくなるなどの健康への効果もいわれています。さほど負担にならずに試せるものがあれば、試してもらったらよいのだと思います。

 民間療法は「ガイドライン」に書かれているわけではありませんが、「効くか効かないかはあなた次第」といった側面があるものだと捉えています。

後篇へつづく)

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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