(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年3月1日付)

中国安邦保険、米スターウッド買収提案を撤回

中国北東部の遼寧省大連にある、スターウッドホテル&リゾートチェーンの「ザ・キャッスル・ホテル」(2014年7月7日撮影)。(c)AFP/JOHANNES EISELE〔AFPBB News

 中国の大手保険グループ、安邦保険(アンバン)の会長は1年前、ロンドンに本社があってサーモンピンクの紙を使っているグローバル金融紙を買収したいといろいろな人に語っていた。

 2015年にニューヨークの名門ホテルとして知られるウォルドルフ・アストリアを、そして2016年後半には高級ホテルを多数保有する米国のストラテジック・ホテルズ・アンド・リゾーツを55億ドルで買収した成功体験で勢いづいていた呉小暉(ウー・シャオフゥイ)氏は、猛烈な事業拡張を検討していた。

 しかし2月23日、中国政府当局によって8カ月前から身柄を拘束されていた呉氏は、職務上の横領と詐欺的な資金集めの容疑で起訴された。安邦保険は当局の管理下に入った。おそらく同社の破綻を避けるための措置だろう。

 筆者自身は、本紙フィナンシャル・タイムズ(FT)買収の機会を呉氏が手にできなかったことにほっとしている。

 というのは、10年ほど前に呉氏のライバルに当たる大物実業家に会った際、呉氏が北京随一のビジネス街にある優良な不動産を強奪するべく政治家の強力なコネとマフィアのような戦術を用いたとの話を聞かされ、その証拠の書類も見せられていたからだ。

 同氏の悪事にまつわるその他の話はもっと卑猥で、裏づけを取ることが難しかった。

 呉氏の切り札は、かつての偉大な指導者・鄧小平の孫娘の結婚相手であることだった。この関係により、呉氏は中国という国家のすべての階層に協力を請うことができた。

 そのため一部には、呉氏の今回の転落劇は妻と仲違いして鄧一族の保護を受けられなくなったことが一因だとの見方もある。