これは結婚式の前夜や当日などに、友人らが新郎や新婦、その付添い人などをからかう行為。だが、一般的に言ってものごとへの力加減が豪快になりがちな中国の地方のローカル社会においては、往々にしてやりすぎが発生する。一部の地域では、鬧婚はメチャクチャをやるほど結婚後の夫婦の絆が深まるという考えもあって、どんどんエスカレートしがちだ。

結婚を祝われすぎて死亡する新郎も・・・

 たとえば昨年4月には貴州省安順市普定県で、新郎が街角の電柱に縛り付けられて大量の生タマゴをぶつけられる写真がネット上に流れ、「食べ物を粗末にするな」と非難を招く事件が起きた。昨年6月ごろと11月には陝西省安康市でも似た行為がおこなわれ、街角に縛り付けられた新郎が消化器で集中攻撃され、生タマゴなどをぶつけられた動画と写真が出回っている。

昨年6月ごろ、陝西省安康市で街路樹にくくりつけられて晒し者となり、大量の消火器やテープスプレーを噴射された新郎。これでも祝ってもらっているのである

 やりすぎて命にかかわるような事件も起きている。昨年11月には、山東省臨沂市郊外の蒙泉村で新郎が粘着テープでぐるぐる巻きにされて村の木に縛り付けられていたのだが、きつく縛りすぎたせいで顔が真っ青になり呼吸困難に。周囲の人から慌てて助け出される一幕があった。

 また、2010年11月には貴州省遵義市ビ(さんずいに眉)潭県で、新郎が結婚式当日の朝に親しい友人たちから服に大量の塗料をぶっかけられ、それを洗い流そうと近所のガソリンスタンドで買ってきたガソリンを用いたところ発火。全身の95%にやけどを負い、極めて重い身体障害を負っている。2013年2月には山西省太原市郊外で、友人たちから祝いのために殴られ続けた新郎が病院に搬送された後に死亡するという痛ましい事件も起きた

今年2月、貴州省の地方紙『遵義晩報』ウェブ版が掲載した「鬧婚」で祝われる新郎の姿(記事中の事例とは別)。こう見えても、あくまでも祝ってもらっているはずなのだが・・・