(英エコノミスト誌 2018年2月10日号)

ポーランド、ホロコースト表現に罰則科す新法成立 イスラエルは修正求める

アウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所で列車から降ろされ連行されたユダヤ人ら(1944年5月27日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / Yad Vashem Archives〔AFPBB News

与党「法と正義(PiS)」は歴史を書き換え、ポーランド人はあくまで被害者であり加害者ではなかったことにしたがっている。

 アウシュビッツ強制収容所は1943年2月6日、ポーランド北東部のビャウィストクのゲットー(ユダヤ人隔離居住区)から2000人のポーランド系ユダヤ人を受け入れた。

 ほぼ全員がガス室に送られて殺害されたが、これはナチスがポーランドで6年にわたって繰り広げた残虐行為の悲惨な事例の1つにすぎない。

 第2次世界大戦では、600万人のポーランド人が命を落とした。そのほとんどが第三帝国の犠牲者だった。

 アウシュビッツでそんな日常が繰り返されたその日からちょうど75年が経った2月第2週、ポーランドで新しい法律が可決された。上記のような犯罪を「ポーランド国民」のせいにする人物には罰金刑と懲役刑を科す、という内容だ。

 ポーランド人は昔から、「ポーランドの死のキャンプ」という言葉に激しく反発してきた。バラク・オバマ前大統領も2012年にこの表現を不用意に用い、人々の不快感を思い知ることとなった。

 しかしこの言葉は、話し手が気の利かない人物であることを示しているだけで、歴史修正主義の現れではない。アウシュビッツや、ポーランド領内のそのほかの強制収容所をポーランド人が運営していたと言う人はいない。

 ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領はこの法律に署名するにあたり、ホロコーストを生き延びた人が個人で証言を行うときに怖がってしまうことがあってはならないと述べた。また、学術関係者や芸術家は免責されるとしている。