サプリになった沖縄・長寿村の「ノビレチン」

シークヮーサーと沖縄の人々の“共生”(後篇)

2018.02.16(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

“共生”関係の根幹を保つ“地消地産”

大宜味産のシークヮーサー果汁を配合した、ロート製薬の「ノビリンクEX」。ノビレチンやDHAのほか、ウコン抽出物やγアミノ酪酸(GABA)なども配合されている。発売は3月22日の予定。

 20世紀半ばまでは、シークヮーサーは野山に自生したり、庭に1~2本植えられたりしたものを、個人の範囲で利用する柑橘類だった。その後、産業利用が展開され、人々とシークヮーサーの共生関係は大きく変化した。

 さらに、今後は、科学研究の成果がシークヮーサー関連商品の開発に注がれるという、新たな時代を迎えそうだ。

 ただし、いくばくかの懸念も頭をよぎる。シークヮーサーの産業利用が進み、新形態の商品化が次々進んでいくと、大宜味村をはじめとする沖縄の人々の「シークヮーサーは自分たちの食べもの」という感覚を薄めやしないだろうか。

 これに対するヒントが、村長の宮城氏の話の中にあった。宮城氏は「村ではできるだけ“地消地産”をしていきたい」と話す。

「地産地消でなく、地。自分たちがシークヮーサーを食べて使って、そしてどんどん作っていこうということです。自分たちが食べずに、いいですよと薦めてもインパクトはありません。自分たちが食べることを保ちつづけていきたい」

 シークヮーサーの利用の仕方は今後も発展し、さまざまな形態の食品がより広い地域で出回るだろう。そうした中で、長くシークヮーサーと付き合ってきた沖縄の人たちが食べることでの利用を続けていけば、人とシークヮーサーの“共生”関係の根幹は保たれる。

 地元での伝統的な食と、広い地域での発展型の食が両立することで、その関係は発展していくのだろう。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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