サプリになった沖縄・長寿村の「ノビレチン」

シークヮーサーと沖縄の人々の“共生”(後篇)

2018.02.16(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要
ジュネジャ・レカ・ラジュ氏。ロート製薬取締役副社長(海外事業・技術担当)、最高健康責任者。インド出身。1989年より日本、インド、米国の各企業で取締役を務め、2014年にロート製薬入社、現職。

 大宜味村のシークヮーサーとの「出合い」を、同社副社長のジュネジャ・レカ・ラジュ氏がこう説明する。

「ロート製薬だからこそできることを考えました。それは、シークヮーサーの構造機能や働きを解明するといった、サイエンスの視点からのアプローチでした」

 ラジュ氏も目を見張るシークヮーサーの成分に「ノビレチン」がある。フラボノイドの一種で、柑橘の中でも特にシークヮーサーの果皮に多く含まれている。1990年代後半から研究機関や大学研究室などに注目され、血糖値の上昇抑制、発がん抑制、慢性リウマチ抑制、さらに抗認知症の効果などが研究されてきた。

 同社もノビレチンの研究を進めてきた。そして2017年、ノビレチンと魚に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)の組み合わせが、神経細胞の突起伸長活性を相乗的に高めることを発見し、発表した。PC12細胞というモデル細胞を対象に実験したところ、それぞれを単独で与えるより、2つを合わせて与えるほうが神経突起の伸長が相対的に高まったという。このような成分の掛け合わせが、さらに食のポテンシャルを上げることもあるようだ。

 こうした研究成果を引き提げて、同社はノビレチンとDHAを主成分とする食品「ノビリンクEX」を発表するに至った。

 同社はケレス沖縄とともに、シークヮーサーの搾りかすを利用するための研究開発も進めてきた。普段は捨てられる搾りかすに、ノビレチンが多く含まれる。これを商品に利用したという点での価値も高い。

 だがそれよりも、科学研究の成果をもとに、シークヮーサーの利用方法を広げようとしている点に、人々とこの柑橘類との新たな関係を見いだせるのではないか。ラジュ氏は「今回がスタートです。もっと深くシークヮーサーの機能性を調べていきたい。そして沖縄発の商品を世界に広めたい」と意気込む。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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