南シナ海での工事は「着実に前進」、島の面積はさらに拡大へ 中国

中国東部・江蘇省啓東の港で進水する浚渫船「天鯤号」。人工島の造成に用いるとみられる(2017年11月3日撮影、資料写真)。(c)AFP〔AFPBB News

 北朝鮮による核・ICBM開発問題、ならびに平昌オリンピックを利用しての南北対話の開始などによって、南沙諸島における中国の武装化が国際社会で目立たなくなってしまっている。そんな状況にますます危機感を強めるフィリピンは、中国人工島建設の進捗状況を物語る写真を数点公開した。それらには、人工島内に建設された“立派な”建造物やレーダーサイト、監視塔、灯台などが鮮明に映し出されている。

「人工島建設は国際貢献」?

 今回フィリピンが公開した写真以外に、米シンクタンクや米国防総省なども南沙諸島の中国人工島建設状況に関する空中写真などを断続的に公表している。

 それらの写真情報によると、かねてより明らかになっていた3つの人工島に設置された3000メートル級滑走路の周辺には、格納整備施設をはじめとする建造物などが着々と整備され、航空基地が完成しつつある。それらの主要人工島だけでなく7つの人工島すべてにさまざまなレーダー設備や通信施設が設置されており、南沙諸島に点在した人工島をネットワーク化した中国人民解放軍の前進軍事拠点(南沙海洋基地群)が完成するのは間近と考えられる。

フィリピンが公開したファイアリークロス礁の状況
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フィリピンが公開したジョンソンサウス礁の状況
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 南沙諸島に地理的に最も近接しているフィリピンが、「中国が南沙諸島で人工島を建設し始めているらしい」との情報をいち早く国際社会に向かって発信したのは、2014年初頭のことであった。まもなく中国当局による人工島建設計画が明らかにされ、実際にいくつかの環礁で埋め立て作業が開始されていることが確認された。