おそらく、これらの資産の評価額は、暗号通貨の急落に伴って目減りしているだろう。

 ここで重要になるのは、コインチェックが自身の名義で多額の暗号通貨を保有しているかという問題だ。

 保有しているなら、それを顧客への返金に充てることができるかもしれない。

 またライバル会社によれば、ハッカーと交渉するのは珍しいことではないため、同社は被害額よりも少ない額のビットコイン(あるいは、もっと使いやすいほかの通貨)をハッカーに差し出し、XEMを取り戻すことができるかもしれないという。

 XEMを発行するNEM財団には、奪われたXEMを取り戻すことはできない。だが、財団はXEMにタグ(銀行券の発券番号のようなもの)をつけているため、ハッカーが盗んだXEMをほかの取引所に持ち込もうとすれば、取引所の方で分かるようになっている。

 ここで、今回の犯罪の奇妙な性質が浮かび上がる。コインチェックとその顧客は損をしたが、誰が得をしたかがはっきりしないのだ。

 「盗まれたXEMが移動も使用もされなければ、その分だけXEMの供給量が減少し、システム内のほかのXEMが稀少になって価値が高まる」NEM財団のジェフ・マクドナルド副代表はこう語る。

 「しかし、ハッカーが売却できるのであれば、市場に放出したり安値で売却したりできる。先ほどとは逆の、供給が増えて需要が減るパターンだ。どちらのシナリオになるかは、時間が経ってみないと分からない」