うわさが広がり、預けた通貨を引き出そうとする動きが急増した。東京のトレンディーな街、渋谷にあるコインチェックのオフィスの外には、投資家やジャーナリストが多数集まり始めた。

 26日の夜遅く、ハッカーの襲撃からほぼ24時間が経過した頃、真っ青な顔をした和田氏と大塚氏がテレビカメラに向かって深々と頭を下げた。「このたびはお客さまにご迷惑をおかけしてしまい、まことに申し訳ございません」と大塚氏は述べた。

 「ゼム」と発音するXEMは、NEM(ネム)と呼ばれるシステムに組み込まれたデジタル通貨だ。NEMは、イーサリアムなどと同じく、企業がアプリケーションを作る際のプラットフォームとして設計された第2世代ブロックチェーンの1つだ。

 2017年1月の時点で、XEMには1セント弱の価値しかなかったが、その後に文字通りの急騰を演じ、ハッキングされるまでに1万パーセントを超える値上がりを遂げていた。

 コインチェックは被害に遭った顧客26万人に対し、1XEM=80セントのレートで換算した現金(合計で4億2200万ドル)で返金すると約束している。

 となると、山咲氏のような投資家にとっては、それだけの資金をコインチェックが持っているのか否かが大きな問題となる。

 同社は財務状況についてはコメントを拒んだ。

 しかしこれまでの取引量を見る限り、暗号通貨ブームの時期には1日当たり200万~300万ドルの売り上げを得ていた可能性があり、ビットコインやXEMを含むそのほかの暗号通貨による顧客資産は、ハッキングに遭った時点で50億ドルに達していたかもしれない、とライバル会社は推計している。