特徴の2つめは、省電力性能である。電源を確保できない屋外などにセンサーを配備する場合、どうしてもセンサーの駆動時間が大きな課題になる。その点、ソニー製LPWAは位置データを1日2回送信するといった低頻度の通信であれば、コイン型の電池1個で1年間利用できる。

 3つめは通信の信頼性だ。ソニー製LPWAは高感度のデータ受信機能を持つ。テレビ、ビデオレコーダ、光ディスク用の誤り訂正に用いられるデジタル信号処理技術などを応用したものである。加えて、テレビチューナなどに搭載される高周波アナログ回路技術を採用することで、多くの電波が飛び交い混信が起きやすい都市部でも、良好な通信を実現している。また、GPS(全地球測位システム)衛星から得た高精度な時刻情報を使って送受信のタイミングを補正し、通信の信頼性を高めている。

 ソニー製LPWAは2018年4月、畜産業支援ソリューションとして実用化が始まる見込みだ。牛の命を救い、畜産農家の経営を支える。

 牛の畜産業には肥育農家と繁殖農家がある。繁殖農家は母牛の発情期を見計らって種付けし、子牛を安全に出産できるよう分娩を手助けする。肥育農家は繁殖農家から子牛を購入し、約2年かけて育てて出荷する。

 育て上げた牛をすべて無事に出荷できれば良いのだが、一定の割合で事故が発生する。具体的には、間もなく出荷というタイミングで、大きく育った牛が横たわったまま自力で立ち上がれなくなることが、しばしばある。

 このとき即座に気づいて起立するのを介助してやると、牛は再び自ら立てるようになる。しかし、気づかないまま放置すると、牛の体内にガスがたまり数時間で窒息してしまう恐れがある。購入する子牛の価格は高騰しているうえ、飼料代などもかかるので、出荷できなくなることが肥育農家の経営に与える打撃は大きい。

 実用化予定のソリューションでは、牛舎内にソニー製LPWAによる無線ネットワークを整備し、横になり立てなくなった牛をセンサーで検知。肥育農家のスマートフォンに即座に通知する。こうすることで、夜間でも起立困難になった牛をすかさず助けられるようになる。

表 代表的な独自仕様LPWAの特徴 *の詳細は前回記事を参照

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