企業内イノベーションの実現に向けた7つの提言

経営者のための「DX時代のイノベーション戦略」(第4回)

平鍋 健児/2018.2.7

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 ただし、「請負開発」ではないので、完成責任と瑕疵担保責任を明記した請負契約は不適当である。準委任契約によって、優秀な(経験ある)その特定分野のエンジニアを招き入れる。技術力があるエンジニアは、「人月」の一部として安く調達されたエンジニアの優に数倍の価値がある。

 そのようなエンジニアを採用したり、契約したりするには、技術が分かり技術者を目利きできるCTO職が必要になるかもしれない。社内な優秀なエンジニアがその候補だ。

【7】コミュニティへのエンジニア参加を推奨し、外部交流を行うこと

 社内エンジニア、もしくは外部から招き入れたエンジニアが確保でき、アジャイルを回せる人が出てきたら、そのエンジニアたちに外部コミュニティへの参加を推奨しよう。アジャイル開発は多くの文脈依存(市場・プロジェクト・プロダクト・文化)のノウハウが暗黙知として存在する。それを獲得するには、日本・海外の他のエンジニアたちとの交流が大いに役に立つ。小さくてもよいので、事例ができたら積極的に外部コミュニティで発表しよう。アジャイルジャパンスクラムギャザリングは国内の大きなコミュニティであるが、それ以外にも多く外部からの発表を受け入れるカンファレンスや勉強会が存在する。

 チームは最初、悩みながら自分たちのチームを運営するだろう。そこには技術的な課題、マネジメント的な課題の両方が存在し、日々それらと直面することになる。政治的なこと、人事的なこと、予算的なことも含めたチーム作りの課題等、現実的な問題である。社内だけで解決することは難しい。解決のヒントの多くは社外に存在する。

 ソフトウエアの世界では伝統的にこういった技術交流の場が、会社という枠を超えて存在している。その中心にあるのは技術的な興味であり、情熱である。新しいことを突き進めるには、情熱が不可欠だ。

 こういった場に頻繁に参加しているエンジニアは、新しい知識を外部から取り入れながら急速に成長し、社内でも活躍するようになるだろう。経営陣としては、このような活動への参加を本来業務ではないとして渋るのではなく、逆に推奨して参加させるべきだ。

 さて、次回は、このようなチームを機能させるためにサービスを提供している日本の企業群を紹介して、最終回としたい。

(バックナンバー)
第1回「企画と開発が責任を押し付け合う会社の前途は暗い」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51448
第2回「『開発手法』だったアジャイルはここまで進化した」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51870
第3回「ビジネスに追いつけない日本のシステム開発の構造欠陥」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52025