原油市場における「ブラックスワン」は何か?

サウジアラビアの減産はいつまで続くのか

2018.02.02(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52232
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 1月のシェールオイルの生産量は日量641万バレルだが、その半分近くがパーミアン地域で産出されている(同279万バレル)。2014年後半以降の原油価格下落で窮地に陥ったシェールオイル業界は、最も採掘効率が高いパーミアン地域での操業に集中し、コスト削減努力を行ってきた。その甲斐があって、今年初めて業界全体で黒字になるとの見方が出始めている(1月23日付OILPRICE)。

 こうして業界全体で体質が改善されたことを踏まえ、国際エネルギー機関(IEA)は19日、「米国の原油生産量は爆発的に増加する(日量135万バレル増)」との見通しを示した。

 一方、ファリハ氏は、「ベネズエラとメキシコ(マフィアによる犯罪の蔓延が原油生産にまで悪影響を及ぼしている)の減産」に加えて「世界の原油需要の拡大がシェールオイル増産の悪影響を打ち消す」としている。

 だが、原油需要は本当に大丈夫だろうか。

 筆者は「原油市場を下支えしている米国の原油在庫の大幅減少は米国産原油の輸出拡大による影響が大きい」と主張してきた。しかし、輸出拡大を後押ししてきた米WTI原油価格と北海ブレント価格の差が大幅に縮小してきたことから、米国産原油の輸出幅が今後減少に転ずる可能性が高まっている。米国の原油在庫は直近10週連続で減少していたが、増加に転じる時期が迫っているということだ。10週連続で減少した米国の原油在庫は大幅増加に転じた。増加基調が今後も続けば市場のセンチメントは弱気になっていくだろう。

 また、昨年世界最大の原油輸入国となった中国では、国内の石油製品市場の供給過剰ぶりはますます悪化している。中国政府は1月19日、第1四半期の石油製品の輸出割当量を発表したが、その量は前年比24%増である。特に深刻な広東省では専門家がさらなる輸出拡大を提言している。これによりアジア全体の石油精製需要が落ち込む懸念が高まっている。

「第2の中国」と期待されるインドでも、今年に入りディーゼル価格が高騰するなど原油高の影響が石油製品に出始めており、需要の下押し圧力が生じている。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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