人気の「地鶏」、正しい定義を知っていますか?

日本鶏を使って、輸入に頼らない新品種の開発を

2018.02.02(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要

輸入リスクがある中で、日本鶏で新品種を

 農林水産省による2016年度の食料自給率では、卵は97%、鶏肉は65%と報告されているが、「実際はもっと少ない」と都築さんは言う。多くの場合、ブロイラーや採卵用の鶏はひなを輸入し、それを何代か育てたものを利用している。「もしも何らかの理由で輸入が途絶えれば、鶏肉や卵は生産できなくなってしまいます」。たしかに、鳥インフルエンザの流行などを考えると、輸入が途絶えることは十分考えられる。

 そこで、都築さんは日本鶏を使って、輸入に頼らない新品種をつくることを提案している。日本鶏は食べてもおいしく、食味に関わる成分を調べたところ、脂肪酸組成は和牛に匹敵するものもあったという。「観賞用で発展した交配技術を生かして、『見てよし、食べてよし』という品種をつくることが可能です。その地域の特色を生かした品種もつくれます。そのためにも貴重な遺伝資源を残すことが重要なのです」と都築さんは話す。

 これだけのたくさんの種類の鶏を飼育保存するのは容易ではない。労力も必要だし、餌代もかかる。教員や学生らの努力により維持しているのが現状だ。

「いつまでもおいしい鶏肉が食べられるように、そして品種が保存できるように、まずは多くの人に鶏についてもっと知ってもらいたい」と同研究室准教授の西堀正英さんも言う。鶏について知ってもらうために高校などに出張講義に出向くことが多い。そのとき、受講生に鶏の絵をかいてもらうと、4本足の鶏の絵が何枚かはあるのだそうだ。

 さすがに鶏の飼育はできないので、まずは商用の地鶏でも食べてみようと考えたが、スーパーマーケットの肉売り場ではどれが地鶏で、銘柄鶏かは区別できなかった。ちょうど日本食鳥協会は3月末まで、数々の地鶏肉を順番に販売していく「全国地鶏リレー」を行っている。全国の希少な地鶏を販売するそうだから見てみたい。

 いつまでも、この貴重な日本鶏の文化が残されてほしいものだ。そして、日本鶏の血を引いた、新しい品種の鶏が味わえる日が来ることを期待している。

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サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。


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