「ほめられ上手」にするためにも

 気軽にほめる習慣をつくることにはもう1つ意義がある。相手を「ほめられ上手」にすることだ。

 ほめられるのに慣れていないと、必要以上に謙遜するなど、素直に喜びを表現できないことが多い。せっかくほめても、相手が素直に喜んでくれなければコミュニケーションが成り立たない。一方、「ほめられ上手」は素直に喜びを表現し、自分が相手をほめることもできる。だからこそ、ほめる・ほめられる習慣づくりが大切なのである。

 わが国には、他人の長所を認めるより短所や欠点を指摘するようになりがちな風土がある。そのため、とくに若手は萎縮したり引っ込み思案になったりする。その風土を変えるためにも、ほめる習慣、ほめる文化をつくることには意義がある。

 ほめる取り組みを始めた職場からは、人間関係がよくなり職場の空気が明らかに変わったという声が届いている。それがお客さんにも伝わったのか、店員とお客さんとの関係もよくなったという声も聞かれる。

 もちろん職場以外でも、ほめるとよい効果が表れる。ある女性は、まったく家事を手伝わない夫がたまたま食器を洗っていたので「スゴいね」と少し大げさにほめた。すると翌日から夫が食器洗いをするようになり、いまでは部屋の掃除もしてくれると喜んでいた。もっとも最初のうちは食器に洗い残しがあり、その女性がこっそり洗い直していたそうだが。

 このように、ほめることにはいろいろな効果がある。バレンタインデーに義理チョコを贈る感覚で気軽にほめてみてはどうか。