(英エコノミスト誌 2018年1月20日号)

ベネズエラ、大統領選を前倒し 現職マドゥロ氏が出馬の意向

ベネズエラ議会で演説するニコラス・マドゥロ大統領(2018年1月15日撮影)。(c)AFP PHOTO / FEDERICO PARRA〔AFPBB News

独裁政権に暴力で立ち向かうのは賢明ではなく、危険だが、すでに始まってしまっている。

 独裁的な手段を使って権力の座にとどまる体制が国民を貧窮させている場合、どんな対応を取るべきなのか。

 ベネズエラの野党陣営は2015年に国会議員選挙で勝利を収めて以来、ずっとこの問題に取り組んでいるが、その間にニコラス・マドゥロ大統領の率いる政権は自分の言いなりになる裁判所を使い、正統な議会から権力をはぎ取ってしまった。

 野党陣営は2つの戦略を試みてきた。第1の戦略は抵抗を続けることだ。相手は暴力でこれに応じた。昨年には、抗議行動で約120人が命を落とした。その多くは治安部隊の手によるものだった。

 そしてこの抗議にもかかわらず、マドゥロ氏は既存の議会に取って代わる新たな議会を、自分に都合のよいメンバーで立ち上げた(この新しい議会の世間体を取り繕うための投票が昨年7月に行われたが、野党陣営はこれをボイコットした)。

 第2の戦略は、今年予定されている大統領選挙が自由かつ公正に行われるように政府側との交渉を試みることだ。

 理屈のうえでは、これら2つの戦略は相容れないものではないが、実際問題としては、この両方を推進したために野党陣営が分裂してしまっている(1つの党に合流して1人の党首を大統領候補に立てることができないという、大きな代償を払うこととなった)。

 この分裂と、政権側による不正な手段やクライエンテリズム(食料や現金をばらまき、その見返りに票を得ること、恩顧主義)の高度化により、マドゥロ氏は先日の地方選挙でも勝利を収めることができた。