似て非なるものだったらしい戦前のロールキャベツ

「栄養と料理カード」でたどる昭和レシピ(4)ロールキャベツ

2018.01.26(Fri) 三保谷 智子
筆者プロフィール&コラム概要

ひき肉1人分100gで立派な主菜に――昭和46年

1971(昭和46)年3月号。写真は器の大きさに合わせて3人分6個の盛りつけ。
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 1971(昭和46)年3月号の「ロールキャベツ」では、肉は1人分豚ひき肉100gとなり、堂々の主菜格に。香辛料としてナツメグ、月桂樹の葉、化学調味料も明記されている。

 4人分でつなぎのパンは1枚(50g、肉の12.5%)。煮汁は水1カップと少なめで、素材そのものの水分を利用して、うま味を引き出すようにしている。

 味つけは塩とこしょうだが、応用として白ソース(ホワイトソース)やトマトケチャップをかけたり、煮汁に小麦粉をバターで練り合わせたブールマニエを煮汁に加えて濃度をつけてもよいと説明する。

煮込むほどにおいしくなる

 以上4つのロールキャベツに共通するのは、キャベツのゆで方と煮方。キャベツの芯をくり抜いて熱湯に入れ、1枚ずつはがして水気を切り、芯は薄く削ぐか包丁でたたきつぶす。2枚を組み合わせてまな板に広げて下味をし、肉だねを巻いて俵形に。鍋にすきまのないように並べ入れ、落しぶた(紙ぶた)をして沸騰後中火で30~40分あるいは40~50分煮込む。煮込むほどにおいしくなる一品である。

 なお、参考までに明治期の料理書も開いてみた。西洋料理が入ってきた黎明期からロールキャベツは名を連ねている。

 1904(明治37)年刊行の『和洋 家庭料理法 全』(赤堀峯吉著、自省堂)では「ロールキャベーヂ」とある。同書は、1882(明治15)年に日本で初めて女性向けの料理学校「赤堀割烹教場」を開設した赤堀による、家庭向け料理書。牛豚ひき肉の肉だねにはとき卵が入り、キャベツで包んでせいろで蒸すというもの。それにトマトソースをかけた。

 また、「キャベツ巻」を1910(明治43)年刊行の『四季の臺所』(中川良平著、女子新聞社)で見つけた。中流以上の家庭の主婦向けの料理書で、後半には「女中への注意」という項目もある。キャベツ巻きは「軽便なる西洋料理」の項目に、牡蠣フライやライスカレーと並んで紹介されている。肉だねにシェリー酒やとき卵が入り、トマトスープで煮る。いずれにしても、限られた人が見ていた料理書だろう。

 冬キャベツには、春に出回る新キャベツ(葉が柔らかく生食に向く)とは異なるおいしさがある。さて今冬。野菜の高騰が落ち着いてロールキャベツを作れるようになる日が待ち遠しい。

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三保谷智子(みほやともこ)

栄養と料理』元編集長。2011年4月から香川昇三・綾記念展示室勤務。学芸員。

東京都出身。1977年立教大学文学部史学科卒業後、香川栄養専門学校栄養士科(現 香川調理製菓専門学校)へ進学、「栄養士」の資格を取得。その後、1979年女子栄養大学出版部雑誌編集課に入職、約30年『栄養と料理』の編集に携わる。1988年より2011年まで、10年間編集長を務める。途中、同部マーケティング課、書籍編集課に在席。

独立行政法人国立健康・栄養研究所外部評価委員。「食生活ジャーナリストの会」会員、NPO法人「野菜と文化のフォーラム」会員、NPO法人「くらしとバイオプラザ21」理事。現在、『栄養と料理』で連載「レシピの変遷シリーズ」を執筆中。


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