中国・北京の街並み。「新時代の中国の特色ある社会主義」の正体とは?(資料写真)

 王滬寧(おう・こねい)。この名を聞いて誰なのか分かる人は少ないと思う。日本ではそれほど有名ではない。彼は中国共産党政治局常務委員、いわゆる「チャイナセブン」(中国共産党の7人の最高指導部のこと)の1人である。

 日本のマスコミはあまり報じないが、王滬寧が政治局のメンバーに入ったことは重要な意味を持つと思う。それは、彼がいわゆる政治家ではないからだ。前歴は大学教授。中国では大学の先生が政治家に転じることはそれほど珍しいことではないが、それにしても政治局常務員にまで登りつめることは珍しい。

王滬寧(出所:Wikipedia)

 この20年ほど彼は党中央で働いていた。その仕事は指導原理を立案すること。共産党を代表するブレーンである。江沢民の打ち出した「三つの代表」や「科学的発展観」などの理論は彼が考え出したと言われる。また、習近平になってからは「中国の夢」や「中華民族の偉大なる復興」も彼が作った。

 そんな彼が政治局常務委員に抜擢された。中国の政治局常務委員は利権集団の代表であることが多いから、学者出身でなおかつ党のイデオロギーを担当したということは異色と言ってよい。彼を引上げたのは習近平と思われる。

ネット規制の最高責任者

 その王は常務委員に就任した直後、2017年12月に浙江省で開かれた第4回世界インターネット大会において、国家がネットを規制しネットビジネスの制度設計にも積極的に関与してゆくことを大々的に宣言した。