来場者でにぎわうラスベガスのCES会場。

 2018年1月9日。

 砂漠の街ラスベガスには場違いの豪雨の中、今年のCES(Consumer Electronics Show、米国ラスベガスで開催)は3900社に及ぶ出展者と世界各国から推計18万人もの来場者を集めて開幕した。

 夕方に嵐が過ぎ去り、街にいつものような静かな夜の帳が下りる段階で、すでに今年のCESがどんな意味を持ち、われわれにどんなメッセージを発散するのかが既にクリアになっていた、と言っても過言ではないだろう。

 なぜならば、概ね開幕日当日の夜までに、影響力の大きいグローバル企業のトップ自らが記者会見や基調講演のプレゼンテーションに登場し、次々と自社の「なりわい」(事業ドメイン)革新を高らかに宣言したからだ。

 IoTという破壊的イノベーションへのロードマップが、リアリティを持ったストーリーとして力強く動き出したのである。

 2015年のCESでシスコシステムズCEO(当時)のジョン・チェンバースが熱く語った予言を今一度思い出してほしい。

【参考】巨大企業をなぎ倒していくIoTの凄まじい衝撃
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47868

 業界を代表するリーダーであり、それゆえ影響力も大きいグローバル企業こそがDisruptor(破壊者)へと変貌し、生き残りをかけて自社の「なりわい」を革新していく。

 今回、著者は特にトヨタ、インテル、フォードという3つのキープレイヤーの経営トップが、自らDisruptor(破壊者)になることを宣言したことのインパクトは極めて大きい、と考える。

 ゲーム・フォー・チェンジ。今後、事業規模の大小や歩んできた歴史の長さには関係なく、あらゆるインダストリーに属する企業が生き残りをかけて同じベクトルの方向に向けて一斉に駆け出すまで、もはや時間はかからないだろう。

注目企業による「なりわい」革新のプレゼンテーション

 今回、記者会見を行ったのはボッシュ、トヨタ、Valoe、ZFといった「元」自動車メーカーおよびTier 1の部品メーカー、LG、パナソニック、サムスン、ソニーといった「元」家電メーカー、それからクアルコム、エヌビディアといった「元」半導体メーカーである。

 また、今年から2カ所の会場に分かれて実施された基調講演には、インテル、タイムワーナー、Hulu、フォード、Huaweiが登場した。