ビジネスに追いつけない日本のシステム開発の構造欠陥

経営者のための「DX時代のイノベーション戦略」(第3回)

平鍋 健児/2018.1.12

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 ところが、DXでは「ソフトウエアは会社のコアビジネスに強く関わる」と考えなければならない。また、ビジネスを進めながらプログラムの仕様を決めたり修正していくDXやイノベーションは、ビジネスとITを分離させる構造とは非常に相性が悪い。

 上記の図にははっきり表れていないが、米国の「IT企業側」にはそういったイノベーティブなソフトウエアプロダクトを開発しているエンジニアが多く含まれている。対して日本の「IT企業」側は、多くの人たちが「SI」と呼ばれるユーザー企業からの受託請負開発に属していると考えられる。

 日本のSI、またそれを生業とする「SIer」という事業領域では、「ユーザー企業」からのRFP(Request For Proposal:提案依頼書)を受け大きな開発を請け負うために、そのまとめ役になる開発大企業があり、その商流の下に2次請け、3次請けという徐々に受注単価が低いソフトウエアハウスがぶら下がり、ピラミッド構造を作っている。

ソフトウエア開発は「壮大な伝言ゲーム」?

 ユーザー企業側の情報システム部門にITスキルを持った人材が少ないことは前述したとおりだが、ほかにも逆風として、実際のビジネス部門から見てコストセンターとなっている場合がよくある。ITを安く調達すること、失敗が許されずうまく行って当然という圧力もあり、さらに強いトップダウン管理をしがちになる。そのために、大きなSIerと協力していわゆる丸投げに近い形でリスクを分け合う開発体制をとらざるを得ない。

 こうなると、ソフトウエア開発は「壮大な伝言ゲーム」と化す(下の図)。末端のエンジニアに渡ってくる情報は期限つきの細切れ情報になり、それをこなすだけの無機質な仕事になりがちである。そんななかでも、目的を共有しながらモチベーションを維持するマネジメントと、達成のために奮闘する現場エンジニアたちに、日本のSIは支えられてきた。

日本のSI構造