退任後もトランプ大統領の「対抗勢力と闘う」、バノン氏

米メリーランド州のアンドルーズ空軍基地に到着したスティーブ・バノン首席戦略官・上級顧問(2017年4月9日撮影、肩書きは当時、資料写真)。(c)AFP/JIM WATSON〔AFPBB News

 ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)の右腕と言われた前主席戦略官スティーブ・バノン氏(以下バノン)にインタビューした。

 ここではバノンに直接聞いた話だけでなく、以前の言動も踏まえて、特筆すべき点をいくつか記し、今年のトランプ政権の総括としたい。

解任されても100%トランプ支持

 1つ目はロシアゲートの真偽である。

 ロシアゲートは昨年の大統領選にロシア政府が介入し、トランプ選挙対策本部と共謀した疑惑のことである。バノンに真偽を問うと、「完全なフェイクニュースだ」と断言。共謀どころか、ロシア政府が大統領選に関与したことすら認めなかった。

 米国の17諜報機関はすでにロシア政府による大統領選への関与を結論づけているが、バノンは逆に「関与したという報告書を読みましたか。そんなものはないのです。誰も読んでいないのです」と反論した。

 元CIA(米中央情報局)長官を含めた複数の政府高官が議会でロシア政府の関与を証言しているにもかかわらずだ。

 バノンは解任された後も、「100%トランプを支援している」と言い切るほど熱烈なトランプ支持の立場を崩さない。そのためトランプ批判は全く口にしなかった。

 現在も数日ごとに電話で連絡を取り合う関係であり、2人の絆は周囲が思っている以上に強い。ロシアゲートはバノン流の言い方をすれば「でっち上げ」でしかないという。

 しかしトランプ陣営からはすでに4人が起訴されており、トランプは窮地に立たされているかにみえる。しかもロバート・モラー元FBI長官が特別検察官に任命されて以来、捜査は深度を増した。