成長実感やキャリアの見通しが開ける

 まず、仕事を通じて「成長している」という実感を持つ割合は、副業・兼業をしていない人(27.6%)よりも、副業・兼業をしている人(33.7%)が高い。また、副業が本業と同じ仕事内容である人(35.7%)のほうが、成長実感は高いが、副業が本業と異なる内容の人(33.1%)であっても、副業・兼業をしないよりは、成長実感は高くなる。

 今後のキャリアの見通しが開けていた割合は、副業・兼業をしていない人(15.1%)より副業・兼業をしている人(22.4%)が高い。副業・兼業が本業と同じ仕事内容である人(28.1%)のほうが、それはより高くなるが、副業・兼業が本業と異なる内容(20.3%)の人であっても、副業・兼業をしないよりは、今後のキャリアの見通しは開けている。

 このように、正社員の副業・兼業の実態を見てみると、副業・兼業の機会は、誰か特別な人のものではなく、また、多くの人が、本業とは異なる仕事を副業・兼業を行っていることが分かった。そして、それは、成長実感や、今後のキャリアの見通しにつながっている。

キャリアを見直し広げる機会に

 私たちの人生は、長寿化で長くなり、それに伴って職業人生も長くなる。これまで1つのキャリアでも十分だったのが、2つ、3つのキャリアを持つことが必要になると言われている(リンダ・グラットン&アンドリュー・スコット『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』)。

 これまでと同じように、会社主導でキャリアを形成していたら、定年退職を迎えた前後に、慌てることになるかもしれない。次のキャリアを自分で作る時に、社外で通用するスキルや能力は何なのか――と。

 そうであれば、副業・兼業の機会を生かして、早めにこの問いに立ち向かったほうがよいのではないか。副業・兼業であれば、本業からの収入を得ながら、本業での能力やスキルをさらに伸ばすだけでなく、新しいチャレンジもできる。

 その過程で、能力やスキルが足りないと気づけば、学ぶことで備えられる。昔、1つしかできないと諦めていた夢にも、挑戦できるはずだ。