しかしながら、正社員の副業・兼業実態をデータで見てみると、今の副業・兼業は、特別な人が行っているものではなく、また、本業の仕事内容を生かして行っているものばかりではないことが分かった。正社員の副業・兼業実態を見ながら、正社員にとっての副業・兼業という選択肢の可能性を考えてみたい。

すでに正社員の約10人に1人

 全国実態パネル調査2017(リクルートワークス研究所)によると、1年間に労働を伴う副業・兼業を経験した者は、正社員の10.8%にのぼり、すでに約10人に1人は副業・兼業の経験を持つ(図表1)。先述の通り、多くの企業が就業規則により副業・兼業を制限していることを考えると、本業の勤務先に隠れて、副業・兼業をしている人がいるのかもしれない。

 副業・兼業の労働時間を見ると「不規則で週単位では答えられない」が51.9%と、不規則な副業・兼業が多く、副業・兼業年収も20万円未満が過半数を占める。不定期で、手軽な副業・兼業を行っている人が多いようだ。シェアリング・エコノミーの発展によって、副業・兼業の敷居が下がっているのかもしれない。

図表1 正社員の副業・兼業の有無、週労働時間と年収(%)
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(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図表をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51924

幅広い職種で副業・兼業が行われている

 どんな人が副業・兼業を行っているのだろうか。エンジニアのような専門職の人たちが多いのか。本業の職種別に、副業・兼業割合を見てみよう(図表2)。