2017.12.25 視聴時間 --:--
ストーリーとしての競争戦略(1)
当たり前の重要さ
楠木建(一橋大学大学院国際企業戦略研究科 教授)
10MTVオピニオン


出演:楠木建(一橋大学大学院国際企業戦略研究科 教授)

この動画は知的教養メディア「テンミニッツテレビ・オピニオン」で収録した講義映像:ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さからお送りしています。

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 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、商売における戦略について、そのゴールとの関連で解説する。

 科学と違って、商売にはこうすればうまくいくという法則はない。科学の場合は、本質は人によって異なったりしないが、商売の場合は人によってそれぞれに適したやり方がある。

 商売とは、普通の人間が普通の人間に対して普通に行ってきたことであり、そこには月にロケットを飛ばすといった突飛なことは存在しない。むしろ、商売において大切なことは、極めて当たり前のことなのである。ファーストリテイリングの柳井正社長は、商売は「お客様の目線で考えること」だと語ったが、これも当たり前の話だ。しかし、現実には、こうした当たり前のことができるかどうかで、勝負がついてしまう。それゆえむしろ考えるべきは、なぜ当たり前のことが現実の商売になるとできなくなってしまうのか、ということである。

 それでは、戦略のゴールは何なのだろうか。ゴールが間違っていれば戦略の意味はないのだから、この問いは重要である。利益やシェア、成長、顧客満足、従業員満足、企業価値、社会貢献といったものが考えられるが、しかしこの中から1つを選ぶことはできないだろう。というのも、これらはすべて、相互に緊密につながっているからである。ただ、これらのつながりの中心にあるのは、長期の利益である。市場経済においては、長期の利益は顧客満足とほとんど同じであり、顧客の満足度を示すものが長期の利益となる。長期の利益があるからこそ雇用を守ることができるし、社会貢献も納税という形で可能になる。

 ファーストリテイリングの年次方針は、「儲ける」の一言だけである。これはカネの亡者となることを意味するのではない。むしろ「儲ける」ことは、商売に欠かせないその他の事柄を、同時に実現するための本筋なのだ。まともな商売人であれば、この原理原則に必ず行き着くはずである。
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2話目以降は「10MTVオピニオン」でご覧ください。

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