(英エコノミスト誌 2017年12月16日号)

中国当局の反発恐れ、政治研究書の出版見合わせ オーストラリア

中国とオーストラリアの国旗をかたどった眼鏡をかけた人(2010年5月2日撮影、資料写真)。(c)AFP/PETER PARKS〔AFPBB News

西側民主主義国の意思決定者を中国が操っている。最大の防御策は透明性を確保することだ。

 新興の大国が既存の大国に挑もうとするときには、戦争になることが少なくない――。

 最初にそう指摘した古代ギリシャの歴史家にちなんで「ツキジデスの罠」と名づけられたこの見通しが今、中国と西側諸国との関係をめぐって取り沙汰されるようになっている。

 その一方で、両者の対立も見えないところでますます強まっている。たとえ中国には外国の領土を征服するつもりがないとしても、多くの人々は、外国人の心を征服するつもりなのではないかと恐れている。

 中国の戦術に対して最初に赤旗を揚げたのはオーストラリアだった。

 中国がオーストラリアの政治や大学、出版界などに干渉しているとの指摘を受け、政府は12月5日、国会議員に影響力を行使しようとする外国の「前代未聞なうえにやり口もますます高度になっている」手法に対抗すべく、新たな法案を提出したのだ。

 その後、オーストラリアのある上院議員が、野党の広報担当者として中国からカネを受け取ったうえで中国を擁護する発言を行ったと非難され、辞任に追い込まれた。

 英国、カナダ、ニュージーランドも警告を発し始めている。

 12月10日にはドイツが、自国の政治家や官僚を抱き込もうとしているとして中国を非難した。12月13日には米国の連邦議会が、中国の影響力が拡大していることについて公聴会を開いている。

 こうした一連の行動には、名前がある。「シャープパワー」がそれで、名づけ親はワシントンを本拠地とするシンクタンクの「全米民主主義基金(NED)」だ。