データは作業員も参照するほか、現場の管理者も利用する。最終的には、現場に行かずともデータで進捗計画ができるようにする状態を目指す。「1人の管理者が2つあるいは3つの現場を同時並行で確認できるようになれば、大幅に効率が増す。人手不足の中、これが実現できれば大きなメリットが生まれる」(森田部長)。

 現場作業の省力化については、まずはTOギャザーやクローラーTOのようなロボットの開発を進め、単純作業をロボットに置き換えることを目指す。一方、人手が必要な複雑な作業については、人とロボットによる協調作業を可能にする方向で進める。先に触れた現場空間のデータはロボットの自律的な動作に役立てるという。

 森田部長は「最初からロボットの活用を前提にした建物の設計にすることも考えられる」というアイデアを示す。施工中にロボットが動きやすい建物の設計にしておけば大きく工期の短縮が見込めるため、ビジネス上で大きな優位点となるだろう。

将来的には建物そのものをロボット化

 将来的には、デジタル技術を建物の企画・設計、施工、引き渡し後のアフターケアまでのプロセス全体に適用する。これにより、「今までにない新しい建築・建設のあり方を実現する」(森田部長)ことを目指すという。

 最終形の1つは、建物そのもののロボット化である。建物の設計段階からにIoT(モノのインターネット)やロボット的な自動機構を組み込む。これにより、設備の制御やセキュリティ管理などで建物が自律的に稼働し、人間の活動を支援するようなイメージだ。