鳥井:毎月、希少がんセンターで行われているセミナー『希少がん Meet the Expert』の開催もそのひとつでしょうか。

川井:はい。全国の希少がんの患者さんに正確な情報を届けることが必要だとわかっていても、私たち医療者にはそのすべがありませんでした。そんな時に、小児・AYA世代のがんをロックを通じ支援している『樋口宗孝がん研究基金』のがんセンター(希少がんセンター)への寄付を通じ、認定NPO法人キャンサーネットジャパンの柳澤さん(当時/現オンコロ・コンテンツ・マネージャー)から声をかけていただいたんです。「私たち医療者が持っている最新の医療情報」を「NPOや企業(オンコロ)の方々の力を借りて広く社会に届ける」という、がん研究センターにとっても初めてのチャレンジングな共同作業でした。

 幸いがん研究センター上層部の方々も応援して下さり、希少がんセンターをあげての活動として、今年(2017年)の1月より開始することができました。

鳥井:私もセミナーにたずさわる中で、患者さんやご家族がどれほど情報を必要としていたかを強く感じました。非常に有用なセミナーになっていると思います。

「AYA世代の専門家」は作るべきか

鳥井:希少がんを語る時に「AYA世代」*も一緒に語られることが多いと思います。しかし「AYA世代の専門家」はいません。それはなぜでしょうか。

*:Adolescent and Young Adult/15~39歳の思春期・若年成人期の世代。