マドゥロ氏はそうした危険に敏感だ。同氏が先週、ベネズエラの国連大使など潜在的なライバルを粛清し、国営石油会社PDVSAの最高幹部に複数の軍人を据えたのは、このためだ。

 エネルギー業界の経験がない少将にPDVSAを経営させても、経営不振の同社が好転する見込みは薄い。軍人に経済を支配させて、ハイパーインフレを食い止められなかったのと同じだ。また、外国のパートナーに悪いメッセージを送ってしまうことにもなる。

 だが、軍を満足させておくことで、マドゥロ氏は政治的な支配を固め、少なくとも当面は、潜在的な離反をかわした。先週末にあったような野党とのいわゆる「対話」は、さらに時間を稼げるだろう。

 第3に、もし交代の機運が体制の内部から生じたら、解任される人物に安全な出口を用意することも必要になる。

 その方が、交代が速やかになり、暴力の度合いが減るからだ。報道によると、ムガベ氏は退陣の取引の一環として1000万ドルの支払いを確保し、汚職に手を染めたインサイダーは国から盗んだ略奪品の一部を返還するために3か月間の猶予を得た。

 人権侵害や盗まれた推定3000億ドルの公金を考えると、ベネズエラで同じことをするのは道義的に不快に思えるが、変化のために必要な交換条件なのかもしれない。

 個別の事象から過度な一般論を引き出してしまう危険は常にある。

 個々の国には独自の力学がある。ベネズエラは、ジンバブエよりずっと明確に米国の視野に入っている。また、マドゥロ氏は、ムガベ氏がかつて元解放運動の戦士として誇ったような地位を享受しているわけでもない。