変化してきたワシントンの論調

 さらに、過去二十数年、歴代政権の国務省、国防総省、中央情報局(CIA)で朝鮮軍事情勢への対応を専門としてきたフレッド・フライツ氏(現在は民間研究機関の「安保政策センター」の副所長)は、ワシントンの政治・外交紙「ザ・ヒル」(12月1日付)に「北朝鮮に対する米国の限定軍事攻撃の時」と題する論文を公表した。

 フライツ氏は同論文で、(1)これまでの北朝鮮に対する交渉や制裁では、核とミサイルのさらなる開発を阻止できないことは完全に明白となった、(2)北朝鮮の核武装を容認すれば、韓国や日本への軍事的な威嚇や侵略、さらには米軍の東アジア撤退の危険を招く、(3)米国はまず朝鮮半島をサイル発射禁止地域と宣言して、北朝鮮のミサイル発射を軍事力で阻止するべきである、(4)米国は北朝鮮の核開発関連の物資の流れを阻むための艦艇臨検を実施し、北の核施設を破壊する意図を宣言するべきである――と述べ、トランプ政権がまず軍事オプションの採択を言明するという戦略を提唱していた。

 こうした軍事的手段の提案はまだ多数派ではなく、トランプ政権の政策にもなってはいない。だが、それなりの専門家たちがその種の提言を公表するようになったことは、ワシントンにおける国政論議の新しい傾向だといえる。北朝鮮情勢の危機がいよいよ深刻化していることだけは疑問の余地がない。