トランプ政権は「軍事的オプションもありうる」と強調しながらも、当面は、中国の協力を得ながら経済制裁などの非軍事的な手段を強め、北朝鮮を核放棄へ追い込むという政策を保っている。

 だが政権内外では、非軍事的な手段ではもはや北朝鮮の核武装を止められない、かといって核武装を容認するわけにもいかない、というジレンマが生じていた。そのジレンマの論議を軍事力行使の方向に一段と傾かせることになったのが、今回の「火星15号」発射だった。このままだともう軍事手段しか残されていないのではないかという判断が、より真剣に提起されるようになったのである。

 その一例が、ニューヨーク・タイムズの国際問題専門記者のニコラス・クリストフ氏が執筆した「私たちは新たな朝鮮戦争へと向かっているのか」(11月29日付同紙)と題する評論記事である。

 クリストフ氏は「米国領土のどこにでも届く能力があるという今回の北朝鮮のミサイル発射の意味は、まず米国側のこれまでの対北朝鮮戦略が失敗であり、戦争の可能性が増している、ということだ」と述べ、戦争の危機の増大を指摘した。

 同氏は、軍事攻撃策の最大の弱点としてよく指摘される「膨大な人命の損失」を挙げ、もしも米朝全面戦争が起きたら「これまでの米国のどの戦争よりも多くの血が流れ、戦闘初日に100万人が死ぬという推定もある」とも警告する。