1.3 米国の採り得る軍事的、準軍事的選択肢とその可能性

 核使用局地戦、通常戦力局地戦、核とミサイル・休戦ライン沿い火力の制圧、ソフトキル、情報戦主の斬首作戦などが考えられるが、可能なのは斬首作戦のみであろう。

 なぜなら、他の軍事的選択肢では北朝鮮による日本や韓国に対する核・化学ミサイルによる反撃のおそれが大きいためである。地下に隠された移動式のミサイルを発射前に発見し制圧するのは、米軍でも極めて困難とみられる。

1.4 今冬が軍事・準軍事行動の最後の機会

 その理由として、以下の点が挙げられる。

(1)来春にはICBM完成のおそれがあるため、完成前に破壊する必要がある。
(2)経済制裁の効果が出るには今冬まで待つ必要がある。
(3)冬季は荒天が多く、北朝鮮側の弾道ミサイル発射が制約を受ける。

(4)情報収集上は、積雪時の屋根の融雪、車の轍跡などから活動状況を把握しやすい。
(5)中国は党大会から間がなく、露は来年3月に大統領選挙を控えており、中露の対応力に制約がある。

 もし、米国が今冬に行動に出て北朝鮮の核・ミサイル能力を奪うことができなければ、北朝鮮の核保有は実質黙認に至る可能性が大きい。

 そうなれば、金正恩は、来年の「新年の辞」などでICBMの完成を公式に宣言し、米国と国際社会に北朝鮮を核保有国として認めることを条件に交渉を呼びかけることになるであろう。

 交渉では、米韓軍事演習の中止、在韓米軍の撤退、米韓条約破棄、米朝平和条約締結などが提案されるとみられる。

 韓国には核恫喝も交えつつ政治的な平和統一が提唱され、文在寅(ムンジェイン)政権に南北統一の大統領選挙などの呼びかけなどがされるかもしれない。

 このようなプロセスが実現すれば、金日成が失敗した北主導の朝鮮半島の統一が達成されることになる。