(英エコノミスト誌 2017年11月25日号)

ドイツ社民党、政治危機解消に向け「交渉の用意」

独ベルリンで記者会見に臨む、社会民主党のマルティン・シュルツ党首(2017年11月24日撮影)。(c)AFP/John MACDOUGALL〔AFPBB News

連立交渉の決裂で、ドイツは未知の領域に突入した。

 自由民主党(FDP)のクリスティアン・リントナー党首が交渉の席を立ったのは、11月19日の真夜中近くのことだった。

 アンゲラ・メルケル氏の率いるキリスト教民主同盟(CDU)、そのCDUと統一会派を組むバイエルンのキリスト教社会同盟(CSU)、リントナー氏のFDP、そして緑の党の4党は、数週間に及ぶ予備的な連立交渉を経て合意に近づいていた――あるいは観測筋はそう思っていた。

 ところが、FDPのリーダーは短い声明文でそうした見方を一蹴した。

 交渉ではこの国の将来について「共通のビジョン」を形成できなかった、連立を組めば党の原則を曲げなければならなくなる、「間違った政治をするくらいなら、政権に加わらない方がいい」と述べたのだ。

 リントナー氏の撤退により、ドイツはかつてない状況に置かれている。

 いわゆるジャマイカ連立(3党のイメージカラーが、ジャマイカの国旗のそれと同じであることに由来)という選択肢がほぼ消えたことで、1949年のドイツ連邦共和国の成立以降初めて、連立政権樹立の交渉が失敗するという事態になった。

 選挙で十分な結果を出せず、すでに政治力が弱まっているアンゲラ・メルケル氏にとっては、さらなる痛手となる。とはいえ、政治危機の到来が告げられたわけではない。

 政治の混乱が独裁制に変わっていく様子を目の当たりにした男女が起草した現在のドイツの憲法(基本法)は、何よりも安定を重んじる。このような場合には、前政権が暫定的に(必要性がなくなるまで)その座にとどまることになっている。

 ちなみに連邦議会は、FDPの件についての不満が新たに生じたものの、予定通り11月21日に開会している。