10歳から70歳代まで、幅広い世代に広がるMaBeee愛好家

――どうしてMaBeeeを開発しようと思ったのでしょう。乾電池に何らかの勝機を感じたのですか?

岡部顕宏氏(以下、敬称略) アイデアはあるけど社内ではどうも具現化しづらい。そう感じている人たちが企業の枠を越えて集まり交流する「ヤミ研ワールド・カフェ」を開催した際、参加者から「スマートフォンを使って玩具を動かしたい」という声が上がったのを機にMaBeeeの開発が始まりました。

 乾電池に着目したのは、玩具のほかにもいろいろな機器にすでに使われているからです。乾電池で玩具の動きをコントロールできる製品を生み出せば、スマートフォンと連携するIoTのプラットフォームとして展開できるのではないかと考えました。

――著名な賞を受賞するなど評判は上々で、MaBeeeを使った遊び方を考案する愛好家も誕生していますね。

岡部 一般販売を始めた当初は約140店舗だったMaBeeeの取扱店が、家電量販店やネット通販など全国600店舗以上に増え、おかげさまで販売数量も着実に伸びています。

 今春に「MaBeee祭 2017」と題して、MaBeeeを利用したIoTの新しい楽しみ方を募集したところ、想定していた以上に数多くの面白いアイデアが寄せられ、選考に悩みました。書類による1次審査で応募作品を30件まで絞り込む予定だったのですが、どれも捨てがたく44件が最終の2次審査に進みました。

――MaBeeeに関連したIoTのコンテストとなると、やはりガジェット好きなど、テクノロジーに慣れ親しんだビジネスパーソンが応募してくるのですか。

岡部 それが、10歳のお子さんから70歳代のかたまで、応募者は幅広い世代にわたっていました。

――10歳!?

岡部 ええ。もともとMaBeee祭を開催したのも、動画投稿サイトで見た9歳のお子さんの作品がきっかけなんです。ブロックの玩具でプロペラを作り、MaBeeeを装着したモーターに取り付け、スマートフォンの傾け方でモーターの回転数をコントロールしながらプロペラ音を変えるものです。高音を出すには羽根の短いプロペラを高速で回し、低音は長いプロペラに付け替えてゆっくり回転させて、それぞれの音を収録する。最後に収録した音をつなぎ合わせてクラシック音楽を演奏していました。