従業員側の声はどうか。「テレワークがもたらす経済効果」調査(2014年、Opinium)の調査結果では、ホワイトカラー従業員の92%は、週2日のテレワークを希望している人が最も多かったという。従業員の意見を見ると、テレワークのメリットは「生産性が向上する(36%)」「信頼されていると感じる(28%)」「多くの仕事をこなせる(13%)」という結果であった。

 また、テレワークの経済効果をみると、テレワークを導入することで、フランス経済は、年98億ユーロの経費削減が可能になるという。これはフランスのGDPの0.5%に当たる金額である。

 国や業界、職種によって最適な導入方法は大きく異なると思うが、このような海外の動向を参照してみてはどうだろう。

日本の働き方改革は、マネジメント改革でもある

 日本では、大企業を中心に、テレワークの導入に対して比較的前向きな姿勢がみられる。

「働く時間」「休暇制度」「働く場所」の柔軟化は、企業と従業員との労働契約の個別化、個別管理の拡大にも直結する。働き方改革は、働くルールと、マネジメントの改革ともいえるだろう。

 今後、雇用契約の個別化が進むと、就業規則など1つのルールで管理ができた時代のマネジメントスタイルでは、もう対応することはできない。目の前にいない部下をどう指揮し管理し、評価していくのか。たとえば、遠隔地にいる部下とのコミュニケーションは、対面よりもメールやチャットツールなどの、文章での指示が多くなる。管理する部下が多い場合は容易ではない。数が増えることで、これまでのマネジメント手法など、業務の見直しも必要となるだろう。

 先進的な企業では、部下からの業務報告を毎日AIがヒアリングして上司に報告する管理ツールなど、進化するテクノロジーを取り入れ、共存することで、労働生産性の向上を試みるところもある。

 働き方改革で働き方の柔軟化が進む、その一歩先に何が起こり、どのような対処が必要となるのか、想像力を働かせながら備えておく必要があるだろう。