一方で、「労働時間」を厳格に管理することで働き方改革を進めるというアプローチをとる国もある。

 フランスやドイツなどは、労使間で定めた労働時間以外には「つながらない権利」を設け、業務時間外の仕事のメールは見なくてよいとして、オンとオフの線引きを明確にしている。

 また、欧州内のグローバル企業の一部は「1日6時間勤務制」を導入している。フレキシブルワークの導入は、従業員の満足度や生産性の向上にもつながっているという。

 ノルウェーでは、1週間単位で計画した仕事を、早く終えることができれば、週末の金曜日は自由出勤もしくは休暇を取得することができる。例えば、朝6時など早朝に出社して昼休みは簡単な軽食を取り、午後2時くらいに退社をするという圧縮労働である。日本のように法定の45分から1時間といった長い休憩はとらず、少しでも早い時間に退社する。外見上は短時間勤務に見えるが、労働量は一定で品質を落とさず、労働時間、場所、期間を自律的に設定する「信頼労働時間制度」を取り入れている。

「テレワーク」を導入する企業が増加

 欧州では、大企業を中心に、大気汚染などの環境への配慮や、通勤による混雑の緩和、また、インターネット環境をはじめとするテクノロジーの進化、機能的なレンタルオフィスの普及拡大、セキリュティシステムの向上を背景として、「テレワーク」「在宅勤務」などの導入が進んできた。ホワイトカラー職を中心に、同僚やパートナー、顧客とのコンタクトも容易にできるため、パソコンと通信環境があれば、どこでも職場になる。

 では、テレワークや在宅勤務は週に何日が適当なのか。

 フランスの事例をみてみよう。興味深い調査結果がある。フランスのCentre d’analyse stratégique(首相の権限下にある戦略的分析センター)の報告書「Le développement du télétravail dans la société numérique de demain」では、「週3日以上のテレワークは仕事の効率や生産性が低下する」と警鐘を鳴らしている。また、勤勉な労働者は、オフィスに出社しないことに引け目を感じ、必要以上に朝早くから夜遅くまで働いてしまう傾向がみられるという。

 フランスでは実際に、従業員に毎日テレワークを許可している企業はほとんどなく、大半は週2回、もしくは週1回であるという。これは、取得日数が多くなると、人間関係の構築や組織から孤立しやすくなるという理由からだ。