現実を直視するためには様々な方法があるが、誰でも本音をいきなり面と向かって伝えるのは抵抗がある。そんなときは、働き方改革実践に関する“診断”を活用し、チームの状態を見ていくことも1つの選択肢である。

 例えば、筆者が提唱する「組織を力づけ、自ら考え、行動することを促すエンパワーソリューション」を基にした「エンパワー状態診断」も働き方改革の状態認識に活用できると考えている。言葉では働き方改革実践の状態を伝えにくくても、診断の設問に対して解答することで、現状の状態認識をメッセージとして伝えることができる。有用と思われるようであれば試してみていただきたい。

 働き方改革を実り多いものとするためには、組織、チーム、個人のそれぞれが描いたビジョンを実現するために、何をすべきかを考え、試し、振り返り、定着する、といったサイクルを描き続けていくことである。

 ビジョンなくして改革実現なし──。これが働き方改革支援の現場からの実感である。

◎連載「働き方改革を進めるポイント」
(第1回)会社が働き方を変える前に必ずやっておくべきこと
(第2回)なぜ社員は帰れないのか?要因ごとに残業を削減する
(第3回)同時に実現すべき女性活躍と働き方改革
(第4回)働き方改革の軸は「目指す人材像と働き方像」
(第5回)社員の「働き方」を変える制度とルールをどう作るか
(第6回)業務・マネジメントの見直しで生産性を向上させる
(第7回)働き方改革の要諦は管理職の意識と行動変革!
(第8回)ハード面、ソフト面で「働く場所」の制約を取り除く
(第9回)働き方改革はどうすれば「自分事」化できるのか