章鐫文さんが留学していたカナダ・トロント

 近年になり中国人観光客の激増が報じられて久しいが、増えているのは旅行者だけではなく留学生も同様だ。昨年12月に発表された『中国留学発展報告(2016)』によると、海外留学中の中国人学生は全世界で126万人に達し、国際留学生総数の4分の1を占めるという。留学先としてもっとも人気が高いのは北米。人数が最も多いのは約32.9万人の米国だが、カナダも相当に多い。

 現在、カナダの中国人留学生数は日本人学生の約20倍の7万7795人に達し、特に同国の名門校・トロント大学にはなんと6000人の中国人が集中。トロントは中国語で「多倫多」と書くが、「多倫多大学じゃなくて華人多大学だ」というジョークが囁かれる始末である。また、近年は中学生や高校生のうちからカナダに送り込まれる富裕層の子弟も増えた。しかし、それゆえの問題も起きているようで――。

「中国大使館からお電話です」

 今年(2017年)11月9日午後、石油成金が多いことで知られる新疆ウイグル自治区カラマイ市からトロント大学に留学中の20歳の女子学生、大学3年生の章鐫文さん(下の写真)は、“駐トロント中国総領事館”を名乗る電子音声の電話を受けた。いわく「緊急案件」であるという。ひとまず電話を切って掛け直すと再び電子音声のナビ受付があり、その後に領事館員らしき男が電話に出た。

トロント市内で留学生活をエンジョイしていた章さん。海外生活中に“領事館”から安全確認連絡を受けたことで、すっかり話を信じ込んでしまった。『環球網』より

(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の写真をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51641