(英エコノミスト誌 2017年11月11日号)

サウジ高級ホテル、身柄拘束された王子らの「留置場」に

サウジアラビア首都リヤドにある高級ホテル「リッツ・カールトン」(2017年11月5日撮影)。(c)AFP/FAYEZ NURELDINE〔AFPBB News

富豪の王子の逮捕と閣僚入れ替えで王国に衝撃が走っている。

 この状況を何と表現すればよいのか、迷いを覚えない人はいない。サウジアラビアで11月4日に繰り広げられた多くの人々の逮捕劇は、クーデター、反クーデター、さらには粛清と様々に形容されている。

 身柄を拘束された人々も様々で、アルワリード・ビン・タラール王子のような富豪の実業家もいれば、ムトイブ・ビン・アブドラ王子のような王位継承者候補もいる。

 「何があったのか、サウジアラビアの国民はのみ込めていない」

 首都リヤドに住むある専門家はこう語る。「衝撃的な事件だ」。

 しかし、少なくとも1つ、はっきりしていることがある。それは、81歳と高齢で体も弱った父・サルマン国王の名の下に急襲を指揮した、若きムハンマド・ビン・サルマン皇太子の手に権力が集中することになった、ということだ。

 過去数十年間、サウジアラビアの歴代の国王は、拡大した王族の中で合意を形成しようと試みてきた。変えるところは少しずつ変え、権力の微妙なバランスを保ってきた。

 特に、アブドルアジズ初代国王とその寵愛を受けたハッサ・ビント・アハマド・アル・スデイリ妃がもうけた7人兄弟、いわゆる「スデイリ・セブン」の一族の間ではそうだった(右の家系図参照)。

 その7人兄弟では、スルタン元皇太子が国防相を48年間務めた。ナエフ元皇太子も、息子のムハンマド前皇太子とのリレーで内務省を40年以上支配した。

 そして1963年からは、アブドラ元皇太子(後のアブドラ前国王)の一族が国家警備隊を縄張りにしていた。

 今では、この3つの地位すべてがムハンマド皇太子かその仲間の支配下にある。