米国では大型イベントがある際、Uber専用の乗車場所を公道に設置する場合がある。写真はデトロイトでの北米国際自動車ショーでの様子(筆者撮影、以下同)

 11月13日、米ライドシェアリング大手のウーバー・テクノロジーズは、ソフトバンクと米投資会社ドラゴニア・インベストメントなどによるコンソーシアムから最大10億ドル(約1137億円)の出資を受け入れることを発表した。コンソーシアムは、ウーバー株の既存株主から90億ドル(約1兆233億円)相当の公開買い付けも実施するという。本件は数カ月前から「近いうちに正式発表の見通し」という論調でメディアが取り上げてきた。

 ライドシェアリング業界ではこの2年ほどの間、世界各地で事業展開する大手の資本提携や業務提携が進んできた。中でもアップルが2016年5月、中国最大手の滴滴出行(ディディチューシン)に10億ドル(約1137億円)投資したことは大きな話題となった。ソフトバンクもこれまでにインドのオラ、シンガポールのグラブ、そして中国の滴滴出行に巨額の投資を行っている。

 そして、ソフトバンクはついにライドシェアリング業界の本丸であるウーバーに手を伸ばした(注:11月14日時点の日本経済新聞の報道ではソフトバンク側は「現時点では最終的な合意はしていない」としている)。これによってライドシェアリング業界の図式が一段と複雑化することは間違いない。

 それにしても、ライドシェアリングがなぜこれほどまで注目され、巨額投資を呼び込んでいるのだろうか?

「違法」行為だが、利便性は高い

 ライドシェアリングは、2010年代に入り、アメリカを震源地として中国などの新興国を含めた世界各地で一気に拡大している「新しい交通手段」だ。