桜咲く中ミサイルに備えるPAC3、東京・市ヶ谷

東京・市ヶ谷の防衛省の敷地に配備された地対空誘導弾パトリオット(PAC-3)(2017年4月5日撮影、資料写真)。(c)AFP/Behrouz MEHRI〔AFPBB News

 トランプ大統領は訪日中に日本がアメリカから兵器を大量購入することを期待する発言をした。その発言にタイミングを合わせるかのように、日本国防当局は、かねてよりアメリカから購入する意向を明らかにしていた超高額兵器「イージス・アショア」弾道ミサイル防衛システムを、秋田県と山口県に設置する最終調整を進めていることが明らかにした。

 イージス・アショアは、これまで弾道ミサイル防衛システムを手にすることがなかった陸上自衛隊が担当するという。これで、海自、空自そして陸自すべてが弾道ミサイル防衛という“偉業”の当事者となる態勢が確立することになる。

「二段構え」という宣伝文句のまやかし

 日本国防当局によると、「イージス・アショアの導入により現在二段構えの弾道ミサイル防衛態勢が三段構えになる」という。だが、これは詭弁に近い表現だ。

 国防当局は、現行の海上自衛隊イージスBMD艦(弾道ミサイル迎撃バージョンのイージス武器システムを搭載した駆逐艦)と、航空自衛隊PAC-3システムによる弾道ミサイル防衛態勢を“二段構え”として宣伝している。つまり、「まず日本海海上で待ち構えるイージスBMD艦から発射されるSM-3迎撃ミサイルで弾道ミサイルを撃墜する。その段階での迎撃に失敗した場合は、地上で待ち構えるPAC-3システムから発射されるPAC-3迎撃ミサイルで飛来してくる弾頭を撃破する」という。

現行SM-3による迎撃圏。現行SM-3の射程距離は1200キロメートル(赤円)だが、弾道ミサイルの飛翔時間の関係上、500キロメートル(青円)~600キロメートル(緑円)レンジで迎撃しなければならない。したがって、隠岐の島沖の海自イージスBMD艦で日本全域に向かってくる弾道ミサイルを迎撃できるように思われるが、実際には少なくともあと1隻、できれば合計3隻のイージスBMD艦が必要となる