それでも、政治経済の構造的な課題はやはり巨大だ。所得格差はいまだに、世界トップクラスだ。その悪影響を経済の高成長で打ち消すこともできていない。

 ブラジルの1人当たり実質国内総生産(GDP)は、1995年から2016年にかけて25%しか伸びておらず、アルゼンチンやメキシコ、コロンビア、チリの後塵を拝している。

 米国との比較で言うなら、四半世紀にわたって伸び悩んでいる。ブラジルの1人当たりGDPは米国の4分の1を少し上回る程度にすぎず、それだけにキャッチアップできないことが心配になる。

 調査機関のコンファレンス・ボードによれば、ブラジルの全要素生産性(技術革新のペースを測る指標の1つ)は2000年から2016年にかけて年率0.7%のペースで低下している。国民貯蓄率は恒常的に低く、2016年は16%にとどまった。

 従って、中央銀行の実質短期金利は、ここ10年間の平均が5%弱という高水準になっている。その結果、投資率がかなり低い。さらに言うなら、人口も高齢化している。そうしたことを考え合わせると、潜在GDP成長率はおそらく2%を下回るだろう。

 高い経済成長が見込めなければ、ただでさえ厳しい財政状況はさらに悪化する。

 ブラジルは巨大な構造的財政赤字を抱えており、IMFの見通しによれば、その規模は2022年までにGDP比11%に達する。歳入はすでにGDPの30%相当額にかなり近づいている。

 歳入は景気の回復に伴って増える公算が大きいものの、歳出がGDPの40%相当額に迫っているため、財政赤字を埋めて公的債務の増加を制御にするには不十分だ。

 法律で歳出の上限を義務づけても、年金をはじめとする義務的経費の壁にぶち当たるだろう。2020年代の初めには、裁量的経費を全額削らなければならない状況になる。