米中首脳会談、北朝鮮問題「解決できる」とトランプ氏

中国・北京の人民大会堂で行われた歓迎式典に出席するドナルド・トランプ米大統領と習近平・中国国家主席(2017年11月9日撮影)。(c)AFP/NICOLAS ASFOURI 〔AFPBB News

「キューバ危機」に学ぶ危機管理

 アジア歴訪中のトランプ米大統領は、11月8日に韓国国会で演説した。その中で、北朝鮮を「監獄国家」「カルト国家」と呼び、核ミサイル開発を進める同国を「地球規模の脅威」と断じた。

 そして、「我々を甘くみるな。米国に挑戦するのは止めろ」と述べ、「力による平和をめざしている」と警告した。

 また、金正恩朝鮮労働党委員長に対しては「核兵器はあなたを安全にしない」と指摘し、「待てば待つほど危険は増大し、選択肢は少なくなる」と述べ、金委員長のみならず、中露にも迅速な決断を迫った格好だ。

 国の政治の役割の中で、最もその真価の発揮が求められるのは、危機の時であり、政治指導者の強力なリーダーシップでいかに危機を克服するかが、国の命運あるいは未来を左右する決定的な要因となる。

 北朝鮮は、「日本列島の4つの島を、核爆弾で海中に沈めるべきだ」などと公言して憚らず、わが国は「かつてなく重大で、眼前に差し迫った脅威」に曝されている。言うまでもなく、日米が主導してこの危機をいかに克服するかが、当面する喫緊の課題である。

 では、確かな羅針盤を持ち合わせていない北朝鮮発の核ミサイル危機に対して、その解決への道筋をどのように描いたらいいのか。

 この難題を解くカギは、東西冷戦下の1962年に米ソの対立によって発生し、世界を核戦争の瀬戸際にまで追い込んだ「キューバ危機」にまで遡る。

 この核ミサイル危機は、発生からすでに半世紀以上が経過しているが、深刻さを増している北朝鮮問題を打開し、地域の平和と安全を取り戻すにあたって、多くの教訓やヒントを与えてくれるのではないだろうか。

「キューバ危機」の概要と米国の対ソ連オプション

「キューバ危機」の概要(経過の骨子)

 「キューバ危機」は、1962年10月16日に始まった。

 ジョン・F・ケネディ米大統領は、「U-2」偵察機などの情報でソ連が米国を攻撃し得る核弾頭を備えたミサイル基地をキューバに建設中であることを知り、これを世界中に公表した。

 そしてソ連にミサイルおよび同基地の撤去を求めると同時に、ソ連からキューバへのミサイル搬入を阻止するために海上封鎖を命じた。

 ソ連はこれを拒否し、ミサイルを積載したソ連の船舶はキューバへの航行を続け、同時に同盟国キューバも臨戦態勢に入った。