(英エコノミスト誌 2017年11月4日号)

ムガベ大統領のWHO親善大使任命、非難殺到で撤回

ジンバブエの首都ハラレで会議に出席するロバート・ムガベ大統領(2016年4月7日撮影)。(c)AFP/Jekesai NJIKIZANA〔AFPBB News

荒廃した国は、年老いた独裁者が去る日を待っている。

 両替商の女性が、分厚い札束を器用にめくっていく。爪には、アイシャドーと合う、きらきら光る紫色のマニキュアが塗られている。

 「ボンドノート」(ジンバブエの代用通貨)の束は、靴下の中にまとめて、プラスチック製の買い物袋にしまってある。本物の米ドル紙幣はブラジャーの中に隠している。

 ボンドノートは公式には米ドルと同じ価値があるが、ここ首都ハラレの街頭では、米ドルはロバート・ムガベ大統領の政府が印刷した証券より20~30%割高な水準で取引されている。

 公式にはやはり米ドル建てとされているモバイルマネーでドル紙幣を買いたい人は、さらに30%のプレミアムを支払わなければならない。

 ジンバブエのお金の価値にこれほど大きな開きがあるのは、本来あり得ないことだ。というのも、少なくとも公式には、ジンバブエには通貨が存在しないからだ。

 10年近く前、中央銀行がジンバブエドルを野放図に印刷した結果、ピーク時で500,000,000,000(500億)%に達したハイパーインフレが生じた後に、ジンバブエは米ドルを採用した。

 あの当時、額面100兆ジンバブエドルの紙幣は、パンを1斤やっと買える程度の価値しかなかった。

 ところが昨年、もうこれ以上、本物のドルを使って代金を払えないことに気づくと、政府はドルと交換可能だと主張してボンドノートを発行し始めた。