ヤンマーが設置した次世代園芸システム確立のためのテストベッド(筆者撮影、以下同)

 “農作業”はパソコンやスマートフォンで生育状況をチェックするだけ。将来、農業はほとんど「全自動」で行われるようになるかもしれない。

 滋賀県米原市、新幹線の線路沿いに農機大手ヤンマーの中央研究所がある。この10月、その研究所から歩いて5分ほどの場所に、トマトを栽培する約2アールの新しいビニールハウスが建てられた。

 ここは単にトマトを育てるだけのビニールハウスではない。次世代園芸システムの確立に向けてヤンマーが運用を開始した「テストベッド」(試験用プラットフォーム)である。

 巷間言われるように日本では農業従事者の高齢化が進み、労働力不足が深刻な状況である。その解決策の1つとして、ここに来てスマート農業への取り組みが急速に加速している。スマート農業とは、「ロボット技術やICTを活用して超省力・高品質生産を実現する新たな農業」(農林水産省)を指す。

 その流れのなかでヤンマーは、農業におけるIoTやAIの活用方法を実証実験するテストベッドを設置した。センサー、IoT通信プラットフォーム、クラウドサービス、AIソフトウエアなど、さまざまな技術・サービスを利用し、栽培や生産管理におけるIoTやAIの信頼性、活用方法などを検証していく。

 プロジェクトの狙いや実証実験の内容について、ヤンマー 中央研究所基盤技術研究部 知能情報グループ グループリーダーの大林正之氏に話を聞いた。

テストベッドの外観。販促物などを製造する会社「ベースワン」の敷地内にある