米、北のテロ支援国家再指定「検討中」 中国・丹東銀の排除も発表

北朝鮮の国旗。マレーシアの首都クアラルンプールで(2017年3月27日撮影)。(c)AFP/MANAN VATSYAYANA〔AFPBB News

北朝鮮問題はなぜ分かりにくいのか?

 NHKが今年9月上旬に行った世論調査によると、ミサイル発射や核実験を繰り返している北朝鮮の行動に、「大いに不安を感じる」が52%、「ある程度不安を感じる」が35%だったという。

 国民の9割近くが不安を感じ、テレビや新聞でも連日取り上げられている北朝鮮による核兵器および弾道ミサイル開発問題であるが、何をするか分からない恐い国であるという感情的反応を超えて、この問題をどのように受け止めたらよいのかがよく分からないという声も耳にする。

 今まであまり指摘されていないが、この問題を分かり難くしている大きな要因の1つが、米国における北朝鮮対応の基本的考え方に関する「ねじれ現象」である。

 安全保障に関する考え方のベースとして両極端にあるのが、「現実主義」と「理想主義」であるが、北朝鮮の核・ミサイル問題に関しては、それぞれの立場からこの問題を見た時の結論がねじれているように見える。

 ドナルド・トランプ大統領がその基盤としている米国の保守思想においては、国家主権を重視する立場から、各国の政府は国家主権を代表して他国との外交や、場合によっては戦争を行い、国民のためにその国家の利益を最大化することが責務であるとされている。

 これは安全保障分野における「現実主義」と親和性が高い考え方であり、その観点から北朝鮮問題を見た場合、まずは米国自身、そして次には同盟国である日本や韓国の安全保障を確実にすることが、対応の基本方針となると考えられる。

 そして、後に詳しく述べるが、この観点からは、北朝鮮が核兵器やICBMを持つことを阻止することは、必ずしも至上命題ではないのである。

 これに対して、大量破壊兵器の拡散は国際社会にとって共通の害悪であり、これを阻止するためには、場合により北朝鮮という国家の主権を侵してでもこれに介入する必要があるとするのは、安全保障における「理想主義」に依拠した考え方であり、トランプ大統領の一国主義とは反対の国際主義との親和性が高い。

 一般に「理想主義」というとハト派的なイメージであるが、その「理想」を実現するためには戦争も辞さないという強硬な考え方も存在する。

 そのような考え方に基づいて、介入的な戦争を行った例としては、2003年以来のイラク戦争が記憶に新しく、その思想的基盤となり積極的な推進力となったのが、いわゆるネオコンと呼ばれる人たちである。