「利便性消費」のスタイルが広がるとともに、ネットショッピングの普及も加速している(写真はイメージ)

 少々古い話となって恐縮だが、2015年度のラグビー・ワールドカップで五郎丸歩選手がキック前にいつも同じ動作を繰り返す「ルーティン」といわれる動作が話題となった。

 消費の世界でも、インターネット、SNSなどの普及に伴い様々な情報があふれる中で、「忙しいし、情報が多く、選ぶことに疲れる。考えて選択・決定することがストレス」 という意識が広がっており、決まったメーカー、ブランドの商品を同じ店舗や購入形態で継続的に購入する、いわばルーティン化した消費行動が広がっているのではないだろうか。

 野村総合研究所(NRI)の調査によると、図1にあるように「流行や周りに左右されず、いつも決まった商品・ブランドをよく買う」という傾向を支持する割合(「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」の合計)は60%に達している。その支持する人の中で、最近またはここ2~3年でその傾向が強まっているという人は34%と3分の1を占めており、比較的10代、20代の若年層で多い。

図1 「いつも決まった商品・ブランドをよく買う」傾向
(注)全国の満15~69歳の男女個人3096人にインターネットで調査
(出所)NRI「日常生活に関するアンケート」(2015年12月)
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 また、「毎日や毎週末、同じ店に買い物に行ったり食事をすることが多い」 について、同様にその傾向をみると64%の人が支持しており、中でも20代でその割合が高くなっている。新しい商品・サービスを積極的に試すとみられがちな若年層でも、むしろ好みのメーカー、ブランドやチャネルを早めに固めて、継続的に利用するようになっていく傾向がみられる。