(英エコノミスト誌 2017年10月28日号)

英ポンド、原因不明の急落 金融市場に衝撃

ロンドンの英イングランド銀行前で掲げられたポンド紙幣(資料写真、2009年3月5日撮影)。(c)AFP/CARL DE SOUZA〔AFPBB News

10年ぶりの利上げに家計がどう反応するか、誰にも分からない。

 とある秋の寒い日のこと。英国の下院議員のグループを前に証言するために、イングランド銀行(中央銀行)総裁が会議室で証人席に着いた。

 経済に関する懸念が募っていた。国内総生産(GDP)成長率は鈍りつつあり、家計は多額の債務を抱え込んでいた。それにもかかわらず、イングランド銀行は利上げを開始した。

 総裁は、みんな安心するといいと言った。利上げが引き起こす「クリスマス債務危機」の懸念は行き過ぎており、「見込まれる政策変更に対する経済の脆弱性は誇張されている」と総裁は述べた。

 あれは2003年、マーヴィン・キング氏が総裁だった時のことだ。イングランド銀行はそれ以来初めて、別のトップ、マーク・カーニー氏の下で、動きのない時期が長く続いた後、再び利上げに乗り出すと見られている(図参照)。

 現在、インフレ(物価上昇)率は3%で、中銀の2%の目標を優に上回っている。GDPは第3四半期に0.4%拡大し、事前の予想を上回った。

 2000年代初頭と同じように、イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)のメンバーは、金融政策の引き締めが経済に好ましい効果を与えるとの見解を抱くようになった。果たして彼らは正しいのだろうか。

 MPCは指標となる政策金利を引き上げたり、引き下げたりすることで、大手銀行が資金を借りられる金利、ひいては家計と企業が直面する借り入れコストに影響を及ぼす。戦後の政策金利は、平均で6%前後だった。

 だが、イングランド銀行は2008~2009年の危機時に、経済を刺激するために利下げした。ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)を決めた昨年の国民投票の後に再び金利が引き下げられ、記録に残る限り最も低い0.25%となった。

 大方のエコノミストは、MPCが11月2日に方向を変え、政策金利を0.5%に引き上げると見ている。