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イノベーション
2017.10.31

「VR人口10億人時代」に向けて日本がすべきことは
日本でのVR普及が遅れている理由や対策について考察する

BY

ビジネス利用の拡大と廉価版HMDが普及の鍵となるか

それでは、日本ではどのようなアプローチをすれば、来る「VR人口10億人時代」に取り残されずに済むのだろうか。

それにはやはりVRの用途拡大=「一般層にも分かりやすい、ゲーム以外での魅力的な活用事例を増やす」ことと、単体で動作可能かつ現実的な価格・品質のHMDの普及は必須だろう。

ユニークな事例を一つ挙げると、たとえばウェディング業界。ワタベウェディングは2016年8月26日より全国の店舗にサムスンの「Galaxy Gear VR」を導入し、日本にいながら花嫁目線でハワイのチャペルの様子を体感できるコンテンツなどを提供している。

ワタベウェディングのプレスリリースより

リゾートウェディングは近年流行しているが、場所が場所だけに何度も下見に行くことは難しい。そこでVRを用いたバーチャル体験を提供し、当日まで現地に行けずともイメージを掴んでもらおうというわけだ。

用いている技術は目新しいものではないかもしれないが、もともとVRと相性が良いとされる旅行業界ではなく、ウェディング業界にVRを持ち込み、二つの流行を掛け合わせた面白い試みだ。

そして、肝心のHMD。とにかく「VRとはどんなものか」ということを認知させたいだけなら、今までのように紙製などの簡易HMDをイベント会場や雑誌の付録などで配布していく方法もある。しかしそれだけでは「へー、面白いね」で終わってしまい、市場の成長にはつながらない。それも必要だろうが、もはや次の手を打つ段階だろう。

VRがどんなものかを知り、興味を持ったライトユーザーが「もう少し上質なVR体験をしてみたい」と思った時、出せる金額はせいぜい一万円程度ではないだろうか。

その価格帯だと、サムスンの「Galaxy Gear VR」やGoogleの「Daydream View」が挙げられる。スマートフォンをセットして使うタイプのHMDで、ハイエンド型には劣るもののそこそこ高品質な体験ができる。しかしセットできるスマートフォンの機種が極端に限定されている物が多い上に、比較的高スペックな端末が要求される。安い!と思って飛び付いたらトータルでのコストは5万円を超えてしまった……なんてことはざらだ。

その点、「Galaxy Gear VR」はサムスン製のスマートフォンであれば大抵使用できるため、このタイプでは頭一つ分抜きんでてヒットしている。しかしそれでも、限定された機種のスマートフォンが必要な点は変わらない。ゲーム機やPC、スマートフォンを使わずともある程度高品質なVR体験ができる手ごろなHMDが欲しい、というのは贅沢な願いなのだろうか?

実は、そんなHMDが近々発売される予定だ。冒頭で紹介した「Oculus Connect 4」というイベントで、PCもスマートフォンも必要としない、スタンドアローン型のHMD「Oculus Go」が発表されたばかり。価格は199ドル(約22,000円)、2018年度の出荷となる予定とのこと。

Introducing Oculus Go

価格だけ見ると、「ちょっと興味がある」層がこぞって手を出すかどうかは微妙なところではある。しかし体験の品質やコンテンツによっては、十分ヒットの可能性を秘めている。

Oculusでは同じくスタンドアローンの「Santa Cruz」も開発中だが、高価格帯となる予定だ。となると、やはり普及の鍵を握るのはOculus Goだろう。Oculus Goの発売を皮切りに各社から安価な一体型HMDが登場するようなことになれば、それが簡易HMDを卒業したユーザーの「ステップアップ先」となるかもしれない。

現状、数百円から数千円で購入できる簡易HMDと、最低でも五万円以上かかる高品質なHMDとの間には、体験の質という意味でも価格帯という意味でも厚い隔たりが存在する。

その間のニーズを満たす、特にGear VRやDaydream Viewが取りこぼした分を受け止めるHMDの登場が待ち望まれているのではないだろうか。

JBPRESS

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