(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年10月25日付)

資産10億ドル超の「ビリオネア」が1500人突破、アジアで急増

AFPBB News

 「世界経済の見通しは良好で、中国とインドを筆頭とする新興市場国ならびにユーロ圏においては勢いが特に強く、国際金融の安定性の強固な土台として機能し続けている」

 これは国際通貨基金(IMF)が2007年4月に発表した国際金融安定性報告書の冒頭の一文だ。

 過去80年近くで最も壊滅的な金融危機が世界を襲う直前に発表されていたことを考えると、後知恵とはいえ、この落ち着き払った見解は見事に誤っていたと言わざるを得ない。

 IMFはもう2度とだまされまいと決意している。

 そこで気になるのが、そのIMFが国際金融安定性報告書の最新版に記している懸念が的確な判断なのか、それともオオカミが来たと騒いでいるだけなのかという問題だ。そして、この懸念が特に政策面で何を示唆しているかということも、同じくらい重要だ。

 この報告書の基本的な主張は、「金融の安定性を脅かすリスクは、当面は低下し続けている」が、「中期的な脆弱性は高まっている」というものだ。

 世界経済が再び成長するようになり、金融をめぐる状況も良好でインフレ率も低いことから、投資家は利回りを得るために投資の対象を拡大し、リスクを取る意欲も強めている。

 市場リスクや信用リスクに対応したプレミアムは10年ぶりの低水準にあり、資産価格はリスクプレミアムの「復元」――もっと直接的に言うなら、相場の暴落――に対して脆弱になっている。

 同報告書が指摘しているように、クレジット(信用)市場や金融市場を揺さぶるショックが過去の実績の範囲内に十分収まる場合でも、世界経済には大きな悪影響が及ぶ恐れがある。