(英エコノミスト誌 2017年10月21日号)

独州議会選挙、メルケル与党が敗北 連立交渉に影響も

ドイツ・ニーダーザクセン州議会選挙で勝利に沸く社会民主党(SPD)のシュテファン・バイル州首相(中央)ら(2017年10月15日撮影)。(c)AFP/RONNY HARTMANN〔AFPBB News

変わりつつある地理の経済学について、先入観を捨てて考える時が来た。

 ポピュリズム(大衆迎合主義)の波は、まだ頂点に達していない。これこそ、ドイツとオーストリアで先日行われた総選挙から得られる、思わず考え込んでしまう教訓だ。

 どちらの選挙でも反移民・反グローバル化を掲げる政党が勝利を収めており、現状にうんざりしている人々が、エリートやアウトサイダー(よそ者)に敵意を示すメッセージにかつてないほど強く共感していることがうかがえるからだ。

 これは米国から得られる教訓でもある。

 ドナルド・トランプ大統領は、現状に立腹している自分の支持基盤への訴えを強めており、直近では北米自由貿易協定(NAFTA)について、協定を作り替えるよりは破壊してしまう可能性の方が高い交渉の立場を取っている。

 こうした対策はうまくいかないだろう。NAFTAが消滅すれば、トランプ氏を支持するブルーカラーの労働者が不釣り合いなほど大きな打撃を被ることになる。

 また、ドイツ東部では有権者の20%が極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を支持したが、移民に厳しい態度で接することは、この地方の経済状況の改善には何ら貢献しない。

 しかし、ポピュリストの政策にはそれを支持した人々にかえってダメージを及ぼす性質があるものの、そのために政策としての魅力が弱まることにはならない。

 従って主流派の政党は、自分は置き去りにされたと感じている有権者に明るい将来像を、それも怒りの政治の背後にある地理的な現実を今まで以上に考慮した将来像を提示する必要がある。