この頃から、目指すべきキャリアの1つとして「プロフェッショナル」が台頭していく。高い専門性と職業倫理観を兼ね備えたプロフェッショナルは、1つの会社にとらわれず、会社の枠組みを超えるという点でキャリア観1.0とは異なるが、職業キャリアの高みを目指すという、登り型のキャリア志向という点は、キャリア観1.0と同じである。

キャリア観3.0:職業人と家庭人という2つの「ロール」への渇求

 2000年代以降、共働きが一般的になるにつれ、男女ともに、仕事と子育ての両立の問題に直面するようになる。仕事の成果よりも、仕事に対する姿勢を評価する日本的雇用では、長時間労働が慢性化するうえ、意図しない転勤も命じられる。男性は子育てへの参加が難しく、女性は配偶者の仕事に合わせてキャリアを諦めざるを得なくなってしまう。

 2000年前後に拡充された育児・介護休暇制度やブランクからの復職支援は、もっぱら女性のためのものだった。

 だが、私たちが望むのは、性別に関係なく、家族を大切にしながら、働きがいのある仕事をすることだ。2010年代に入り、少しずつではあるが、男性の育児・介護への参加や、女性の管理職登用が進むなど、性別によらない働き方が浸透し始めている。

 キャリア観3.0は、男性であれば職業人から家庭人へ、女性であれば家庭人から職業人へと、職業キャリアと家庭生活が一体化したライフキャリアの価値観だ。役割(ロール)が横に広がっているという点で、キャリア観3.0は、登り型のキャリア観1.0やキャリア観2.0とは全く異なっている。

キャリア観4.0:私らしい「ライフ・ロール」の組み合わせ

 100年人生では、キャリア観はさらに進化していく。進化の行方を示すものとして、ドナルド・スーパーが提唱した「ライフキャリア・レインボー」を紹介したい。

 ライフキャリア・レインボーは、人が発達段階に応じて演じる、[子ども][学生][余暇(を楽しむ)][市民][職業人][配偶者][親][家事(主婦・主夫)]といったいくつもの「ライフ・ロール(人生の役割)」を重ねて虹を描く。